
地方競馬では、年間を通して数多くのレースが開催されています。
その中でも特に注目を集めるのが 「重賞競走」 です。
重賞は競走体系の中でも高い格付けが与えられており、賞金も高い、全国から強豪馬が集まる、馬の評価を決める指標となる——など、地方競馬ファンにとっても重要なレースです。
しかし、中央競馬の「G1・G2・G3」とは異なり、地方競馬では 「JpnI・JpnII・JpnIII」 という表記が使われたり、独自の重賞体系が存在したりと、初心者には少し分かりにくい側面があります。
目次
地方競馬の「重賞」とは?
まず、重賞とは簡単にいうと 「実績のある馬・将来有望な馬が出走する高レベルのレース」 のことです。
● 重賞に共通する特徴
賞金が高い(1着賞金は数百万円〜数千万円)
登録条件が厳しい(距離・年齢・競走成績など)
地方でのトップクラスの馬が揃う
馬の格付けに影響する
中央競馬と比較すると、地方は競馬場ごとに規模が違うため、独自の重賞体系を持っていることが特徴です。
地方競馬の重賞は「独自重賞」と「ダートグレード競走」に分かれる
地方競馬には大きく分けて 2つの重賞体系 があります。
① 地方競馬独自の重賞(地方重賞)
各地方競馬場(大井・川崎・船橋・盛岡・園田など)が独自で制定している重賞で、地方のスター馬や若駒の育成を目的としています。
| 競馬場 | 格付け |
|---|---|
| 帯広 | BG1・BG2・BG3 |
| 門別 | H1・H2・H3 |
| 盛岡・水沢 | M1・M2・M3 |
| 浦和・船橋・大井・川崎 | S1・S2・S3 |
| 笠松・名古屋 | SP1・SP2・SP3 |
| 園田・姫路 | 重賞1・重賞2・重賞 |
| 金沢・高知・佐賀 | 「重賞」で統一 |
これらは 中央競馬の競走体系とは別 に位置付けられます。
中央競馬の重賞がGⅠが最上位であるように、例えば帯広ばんえいも(BG1)が最上位、浦和も(S1)が最上位と、各競馬場の重賞の「格」は1が最上位クラスとなります。
② ダートグレード競走(交流重賞)
地方競馬と中央競馬が共同で行う「交流競走」で、格付けが次のように行われます。
| JpnⅠ | JpnⅡ | JpnⅢ |
ダートグレード競走では中央から強い馬が参戦するため、地方所属馬にとっては「全国レベル」への挑戦の場となります。
▶中央競馬の重賞についてはこちら
ダートグレード競走の格付け「JpnI・JpnII・JpnIII」の違い
ダートグレード競走では、中央競馬の「G(グレード)」に近い仕組みが導入されていますが、中央のG1とは区別するため「Jpn(ジャパン)グレード」が採用されています。
| 格 | 特徴 | 代表レース |
|---|---|---|
| JpnⅠ 最上級の格付けで、全国のトップ馬が集まる超ハイレベル戦。 | 賞金が非常に高い 中央のGI級馬が複数出走することも多い 国内ダート路線の頂点に位置するレースが多い | 東京大賞典(大井) 帝王賞(大井) JBCクラシック / JBCスプリント / JBCレディスクラシック |
| JpnⅡ トップレベルの馬が出走するハイグレード競走。 | JpnIよりは敷居は低いが、それでも高水準 1着賞金は2000万〜5000万円クラス ダート路線における前哨戦の役割も強い | 浦和記念(浦和) 不来方賞(盛岡) 関東オークス(川崎) |
| JpnⅢ 条件が広く、若い馬や成長途上の馬にもチャンスがある格付け。 | ハイレベルだが、地方馬にも勝ちやすい環境 1着賞金が1000万〜2000万円クラス 中央のオープン馬が人気になりやすい | 白山大賞典(金沢) 名古屋大賞典(名古屋) サマーチャンピオン(佐賀) |
地方重賞とダートグレード競走の違いまとめ
| 項目 | 地方重賞 | ダートグレード(JpnI〜III) |
|---|---|---|
| 格付け | なし(競馬場ごと) | JpnI・JpnII・JpnIII |
| 中央馬の参加 | ほぼなし | 多数(交流) |
| 賞金 | 数百万円〜2000万 | 1000万〜1億以上 |
| レベル | 地方トップ級 | 全国トップ級 |
| 位置づけ | 地域の名物レース | ダート競馬の全国頂点体系 |
このように、同じ「重賞」でも、性質が大きく異なります。
地方競馬の重賞体系は「地域性」が強い
中央競馬と違い、地方競馬では競馬場ごとに歴史・文化・規模が違うため、重賞も地域性が強く反映されています。
● 南関東(東京シティ競馬・川崎・船橋・浦和)
日本最大の地方競馬圏。
3歳三冠(羽田盃 → 東京ダービー → ジャパンダートダービー)など体系も整備されている。
● 兵庫(園田・姫路)
2歳戦に強く、兵庫ジュニアグランプリなど全国区の交流重賞も多い。
● 岩手(盛岡・水沢)
地方馬の育成力が高く、ダービーグランプリなど歴史ある重賞を多数開催。
● 高知・佐賀・金沢など
ナイターや地域特色を活かした重賞が多く、地元ファンによる支持が厚い。
地域によって重賞の多さや質、その役割は大きく異なります。
地方競馬の重賞が重要視される理由
① 若い馬の登竜門になる
特に2歳・3歳の重賞は、将来のトップホースを見極める場として重要。
② 地方競馬全体の活性化につながる
重賞が多い競馬場ほどファンの注目度が高まり、売り上げ増にも直結。
③ 中央競馬との接点が生まれる
地方競馬から中央移籍して活躍する馬も多く、競馬全体の物語性が強まる。
④ 馬主・生産者にとってのステータス
重賞勝利は競走馬の価値を大きく引き上げ、地方所属馬でも功績として残る。
今後の地方競馬重賞はさらに進化する
近年は売上の増加により、地方競馬の財政が改善し、賞金が上昇傾向にあります。
東京大賞典の賞金増額
南関東のクラシック体系の整備
JBCの毎年持ち回り開催
地方競馬場のリニューアル(大井・船橋など)
これにより、地方競馬の重賞の価値は年々高まっています。
まとめ:地方競馬の重賞体系は「知れば知るほど面白い」
地方競馬の重賞は、
地方独自の重賞
全国区の「JpnI〜III」
という2種類があり、それぞれに役割と価値があります。
特にダートグレード競走は中央馬と地方馬が戦う人気カテゴリーであり、予想の楽しさも倍増します。
地方競馬の重賞体系を知れば、普段の予想やレース観戦の深みが増すこと間違いありません。
これを機に、ぜひ地方競馬の重賞に注目してみてください。



