
「どうすれば競走馬になれるの?」
競馬ファンの中には、名馬の強さや美しさに惹かれ、「あの馬はどんなふうに育ったのだろう」と気になった方も多いのではないでしょうか?
本記事では、競走馬になるまでの流れ・条件・育成環境をわかりやすく紹介します。
サラブレッドはどうやって生まれ、どう育ち、レースデビューするのか? その全貌に迫ります。
目次
競走馬とは?|「レースに出走できる馬」のこと
まず、競走馬(きょうそうば)とは、「中央競馬(JRA)や地方競馬(NAR)で公式レースに出走登録された馬」のことを指します。
その大半はサラブレッドという品種で、スピードと持久力に優れ、競馬用に改良された馬です。
競走馬になるには、以下の3ステップが必要になります:
サラブレッドとして誕生
育成と調教を経て能力を磨く
所定の手続きを経て競馬に登録される
サラブレッドとしての誕生|血統の重要性
■ 血統登録が必須
競走馬のほとんどは、サラブレッド系の馬でなければなりません。
日本中央競馬会(JRA)では、サラブレッドの血統登録を受けた馬しか出走できません。
サラブレッドの定義:
父馬・母馬ともにサラブレッド
国際血統書に登録された血統であること
人工授精・代理母出産は禁止(自然交配のみ)
この厳格なルールは、血統の純粋性を保つため。
ディープインパクト、オルフェーヴルなど名馬たちは、代々続く血筋のなかで生まれています。
生産牧場での育成|競走馬の原点は北海道にあり
日本における競走馬の9割以上は北海道の生産牧場で誕生します。
有名な牧場には「ノーザンファーム」「社台ファーム」「ビッグレッドファーム」などがあり、年間数千頭の仔馬が生まれます。
■ 生まれてからの育成スケジュール
年齢 | 内容 |
---|---|
生後0歳(春) | 出産→立ち上がり→親馬と過ごす |
1歳 | 離乳・人に慣れる・軽い調教開始 |
2歳 | 本格的な騎乗調教 → トレーニングセール・入厩 |
2歳夏以降 | レースデビュー(早ければ6月〜) |
どこで競走馬になるのか?|調教師の管理のもとで「入厩」
競走馬になるためには、調教師の厩舎(きゅうしゃ)に入る=入厩(にゅうきゅう)する必要があります。
入厩のタイミングは馬主の判断によりますが、通常は2歳になるとトレセン(トレーニングセンター)に移り、中央競馬に登録 → レースデビューという流れです。
JRAに登録される条件
サラブレッドであること
入厩が完了していること
馬主がJRA登録済みであること
出走前検査(ゲート試験など)に合格していること
馬主・育成施設・騎手が三位一体で支える
競走馬は一頭の馬をめぐって、さまざまな人が関わっています。
■ 馬主(オーナー)
馬の所有権を持ち、費用を負担
調教師に預けて管理してもらう
馬主登録にはJRAの審査が必要(一定の資産条件あり)
■ 育成施設
生産牧場からトレセン入厩前に預けられ、筋力や体力を強化
ノーザンファーム天栄・しがらきなどの民間施設が有名
■ 騎手
馬と信頼関係を築き、調教やレースで実力を引き出す
中には同じ馬と長期に渡ってコンビを組むケースも
セリ市やトレーニングセールで売買される競走馬
多くの競走馬は、セリ市(競り)やトレーニングセールを通じて馬主に購入されます。
主なセリの種類
セレクトセール(7月・北海道):日本最大規模のサラブレッド市場
千葉サラブレッドセール:調教済み2歳馬が中心
北海道市場:未出走の1歳馬が中心
このとき、血統、馬体のバランス、動きの良さが評価され、1億円以上の高値で取引される馬も少なくありません。
競走馬としての寿命|デビューから引退まで
競走馬は、早ければ2歳でデビューし、中央競馬では基本的に6歳末(牝馬は5歳末)までが現役期間です。
ただし、活躍次第では7歳以上でも特例で出走できます。
引退後は以下の進路があります:
種牡馬・繁殖牝馬として次世代を残す
乗馬やホースセラピー馬として第二の人生を送る
引退馬支援団体に預けられ余生を過ごす
まとめ|競走馬になるには、血統×育成×管理の全てが必要
競走馬は、ただ速く走れるだけではなれません。
厳格な血統登録
丁寧な育成と調教
馬主・調教師・育成牧場の連携
レース出走に必要な各種登録と試験
すべてをクリアして、初めて「競走馬」としてターフに立つことができます。
華やかなレースの裏には、たくさんの人と努力、そして馬自身の素質と努力があるのです。
次に競馬を観るときは、「この馬はどうやってここまで来たのか?」と想像しながら観ると、競馬が何倍も面白く感じられるはずですよ!